約 3,398,179 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/248.html
事件! 王女と盗賊……そして青銅 その③ 三十メイルはあろうかという土のゴーレム。 その手にルイズが掴まっているという事態に承太郎とギーシュは遭遇した。 このゴーレムは何なのか、目的は何なのか、メイジはどこにいるのか。 疑問はあったがルイズは今にも絞め殺さようとしている最中であり、迷っている時間もためらっている暇も無く承太郎は即断した。 ルイズは承太郎の『腕』の力を知ってはいたが、『腕』だけでこの巨大なゴーレムに太刀打ちできるとは思っていなかった。 「ジョータロー! 無理よ、あんたは逃げ――えっ!?」 地面がめり込むほどの勢いをつけて、承太郎は跳び上がった。 一瞬でゴーレムの腕の高さまで来ると『腕』を出してルイズを握る指を殴る。 「オォォォラァッ!!」 ボゴンと音を立てて指が粉砕し、承太郎はルイズを『腕』で引っ張り出す。 そしてルイズを生身の肉体でしっかりと抱きしめると、地面に着地すべく飛び降りる。 だがゴーレムが足を振り上げて二人を狙う。 空中では動きが取れないため、咄嗟に『腕』を身体の前でクロスさせて防御する。 強烈な衝撃により承太郎とルイズは塔の外壁に吹っ飛ばされた。 「スタープラチナ!」 ゴーレムの蹴りを防いだように壁への衝突を『腕』で防ぎ、壁の表面をずり落ちる。 「ジョータロー! ルイズ!」 慌ててギーシュが駆け寄ってくると、承太郎はギーシュの目を見、抱いていたルイズをギーシュに向けて突き出した。 「ルイズを連れて逃げろ」 「どうする気だ、ジョータロー!」 「奴が何者かは知らねーが、このまま放っておく訳にもいくまい」 「無茶だ! いくら君でも――」 再び承太郎は人間とは思えない速度と高さの跳躍をしてゴーレムに迫った。 承太郎の本当の実力がどの程度のものなのか知らないギーシュは、不安と希望を同時に抱いていた。 だが、自分より前に出てルイズが杖を構えている事には不安を通り越して危機感を抱いた。 「何をする気だルイズ! 奴を挑発するな!」 「うるさい! 目の前に賊がいるっていうのに、逃げる訳にはいかないわ!」 「ジョータローが逃げろと言ったろう!?」 ギーシュがルイズの右腕を掴むと、頬に平手が飛んだ。 「邪魔をしないで!」 怒りのこもった言葉にギーシュは口ごもってしまい、 その間にルイズは杖をゴーレムに向けてファイヤーボールを唱えた。 ゴーレムは巨大だった。あまりの質量を前に、承太郎はメイジ狙いの戦法を選ぶ。 どんなにゴーレムが強かろうと、メイジは生身の人間。 ようするに巨大な土人形のスタンドを操るスタンド使いと戦うようなものだ。 ルイズを助けた時のようにスタープラチナの足で跳躍し、一直線にフーケ本体へ。 だがフーケは承太郎を近づけまいとゴーレムの腕を振るわせる。 しかし遅い! 手が承太郎を捉える前に、承太郎がフーケを捉える! そうなろうとしたまさにその瞬間! 轟音ッ! ルイズの魔法が狙いを外れ、塔の外壁で爆発を起こしたのだ! 「ぬうっ……!」 「えっ!?」 突然のアクシデンド。承太郎もフーケも爆風から身を守らねばならなかった。 ここで空中にいた承太郎と、ゴーレムの肩にいたフーケの差が生まれる。 フーケはゴーレムの身体にしがみつき、かがんでいればよかった。 だが承太郎は爆風によりバランスを崩し、爆煙で視界をふさがれてしまった。 「オラオラオラオラオラッ!」 爆煙の中スタープラチナの拳がうなるが、爆発のショックでゴーレムが傾いたせいで、拳の狙いがそれ空を切ってしまった。 「くっ、何が起きて……えっ? 宝物庫の壁が……!」 フーケは承太郎の攻撃から逃れられた事と、宝物庫の壁に今の爆発でヒビが入った事、この二点に気づいた。 ニンマリとフーケは笑い、さっそくヒビの入った壁をゴーレムのパンチで粉砕する! さらなる轟音が鳴り響き、承太郎やルイズ達の頭上に瓦礫が降り注ぐ。 「うわっ、あ……!」 ギーシュは身をすくめ、瓦礫が自分に当たらない事を祈った。 だが『自分に当たりませんように』と願いながら見上げてみれば、人の頭くらいの大きさの瓦礫がこちらに――目の前のルイズの頭目掛けて落ちてきていた。 「ルイズ! 危ない!」 咄嗟にルイズを突き飛ばした直後、ギーシュは背中に強い衝撃を受けて転倒した。 視界がガクンと揺れ、それでもピンクの髪は目立ち、ルイズがどこにいるかは解った。 「うっ……ギーシュ? ギーシュ!」 ルイズが慌てて振り返る。ギーシュはうつぶせに倒れたまま動かない。 最悪の予感がルイズの脳裏をよぎった。 だがすぐにギーシュは顔を上げ、薔薇の杖を掲げ、花びらを舞わせた。 「えっ?」 ワルキューレが七体ルイズの前に出現し、スピアを構えた。 フーケは宝物庫に飛び込みながら、承太郎を危険視し、狙いのお宝を盗み出すまでの間の時間稼ぎをすべく、すでに行動を起こしていた。 ピンクの髪はよく目立つ。 すぐに狙いをつけてゴーレムの足で踏みつけようとした、だが一体のワルキューレがルイズを担いで逃げ出す。 「なっ、何するのよ! 放して!」 ワルキューレを操っているのがギーシュであったため、ルイズは激昂して抵抗した。 そうこうしてるルイズの後ろで、もう一体のワルキューレが何とか逃れ、残り六体のワルキューレはいっぺんにゴーレムに踏み潰された。 ルイズを担いだワルキューレは、地響きによって転倒しルイズをその場に放り出してしまう。 「キャアッ!」 地面を転がって、ルイズはギーシュのすぐ隣に仰向けになって倒れ込んだ。 「ううっ……」 ルイズの視界の中、土ぼこりで汚れきったギーシュがよろけながら立ち上がる。 「ルイズ。君は『薔薇になぜ棘があるのか』知っているかい?」 こんな時に何の話を、とルイズは心の中で毒づく。 薔薇の造花、己の杖を構えながらギーシュは高らかに言った。 「それは『女の子を守るため』さ!」 ルイズを助けようとしたため被害から逃れたワルキューレが、ゴーレムの足にスピアを突き刺す。 だがゴーレムは何て事ないといった風に足を上げてブンブンと左右に振り、まるで虫けらのようにワルキューレを振り飛ばした。 ギーシュが一度に出せるワルキューレは七体、もうワルキューレは出せない。 それでもギーシュは一歩踏み出し、ルイズとゴーレムの間に立つ。 「何やってんのよ! 殺されるわよ!?」 「ルイズ、どうしよう。もう魔法を使うどころか、立ってるのがやっとだ……」 「ギーシュ!」 ルイズは立ち上がり、杖を構えた。もう一度、失敗でもいいから爆発を起こしてやる。 今度は狙いを外さない。 狙いは、今にも自分達を蹴り飛ばそうと振り上げられているゴーレムの左足。 だが詠唱する暇が無い、と思い知らされる速度で左足が迫ってきた。 あまりの巨大さに、一発食らえば中庭の外まで吹っ飛ばされてお陀仏だと瞬間的に理解する。 死ぬ。死んでしまう。 ルイズもギーシュもそう確信し、死の恐怖に心を震わせながら、瞳は、瞳は確かに『それ』を見ていた。 圧倒的質量を持って迫る『死』という存在の前に回りこんだ『黒い影』を。 黒い帽子、黒い髪、黒い服、黒いズボン。 空条承太郎! 195サントある承太郎の身長だが、それに匹敵するゴーレムの爪先。 土のゴーレムといえどこの速度この質量、受け切る事などできるはずがない! 承太郎の学ランが、強烈な風圧を受けてはためいた。 「オオオオオオッ!」 身動きの取れないルイズとギーシュを背後に、圧倒的破壊力を持つゴーレムの左足を前に、承太郎は吼えた。 その声は闘志に燃え、ルイズとギーシュの恐怖を吹き飛ばす! 「オラァッ!」 バゴンッ! 承太郎の右腕から出た『右腕』がゴーレムの爪先の先端を吹っ飛ばす。 「オラァッ!」 ドゴンッ! 承太郎の左腕から出た『左腕』がゴーレムの爪先をさらにえぐる。 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」 左右の拳が残像を残すほどの速さで猛烈なラッシュを繰り出す! その一発一発がギーシュのワルキューレを容赦なく粉砕する威力! 鉄よりも脆い土のゴーレムは強烈なラッシュに、爪先から踵まで真っ二つに粉砕する。 左右を通り抜ける巨大なゴーレムの足の迫力にルイズとギーシュは驚きながらも、それ以上に承太郎の『腕』の力強さに驚嘆する。 そしてついに三十メイルあるゴーレムが尻餅をついて倒れ、地響きを起こした。 三人を囲うように舞う土ぼこりの中、承太郎は学帽を深くかぶり直しながら、こちらを振り向いて『終わった』と言わんばかりの態度を取った。 「やれやれだぜ」 承太郎の口癖。それはまさに『勝利宣言』のようにルイズとギーシュは感じられた。 「た、助かったぁ~……」 安堵のため気が抜けてしまい、ギーシュは情けない声を上げてその場にへたり込んだ。 土と冷や汗でよごれ、瓦礫で負傷し、ボロボロになってしまったギーシュ。 とても『薔薇』とは呼べないその姿を見つつ、承太郎は静かに声をかけた。 「……ギーシュ。おめーが奴に立ち向かわなければ……間に合わなかった」 「は、はは……もう二度と、こんなのはゴメンだよ……」 疲れたような口調ではあったが、表情はやり遂げた男だけが見せる頼もしさがあった。 そんな彼を見て、ルイズは震える唇をギュッと閉じる。 ――最低最悪の侮辱をしたギーシュが、命懸けで自分を守ってくれた。 それだけは揺ぎ無い事実であり、彼の勇気を賞賛し、感謝せねばならないものだった。 だが、感謝の言葉が出てこない。 つまらない意地を張っているのか、ギーシュを認めたくないのか、何も言えない。 正真正銘命を救ってくれた承太郎に対してもルイズは同じような気持ちだった。 自分が何とかしようと魔法を使ったら、失敗して、承太郎の足を引っ張ってしまった。 そしてギーシュに助けられ、承太郎に助けられる自分。 『こうでありたいという自分』と現実のギャップが痛々しく小さな胸を絞めつける。 「ところでギーシュ、メイジがゴーレムを操れる『射程距離』はどの程度だ?」 「メイジの技量にもよるから正確には言えないけど、 あのゴーレムを操った奴はまだ近くにいると思う……」 「となると……塔の中か?」 ゴゴゴゴゴゴ……。 ポッカリと穴の空いた塔の外壁を睨みつけた承太郎は、そちらに向かって跳ぼうとする。 しかし視界の端で起きた変化に視線を向ける。 丁度土のゴーレムの足が修復完了した瞬間だった。 「何ッ……!?」 ゴーレムは即座に立ち上がると、再び塔の外壁に手を伸ばし、手のひらの上に人影が飛び移る。 ニヤリ、とフードをかぶったそいつの唇が笑うのを承太郎はスタープラチナの目で捉えた。 その笑み、まるで「足手まといのお世話ご苦労様」と言わんばかりに嫌味たっぷり。 「野郎ッ……!」 一気にゴーレムの手に跳び移って本体を叩こうかとも思った承太郎だが、今はルイズとギーシュという怪我人を抱えてしまっている。 下手に動けば、またこの二人を狙われるだろう。迂闊には動けない。 そんな承太郎をあざ笑うように、フーケはゴーレムを動かした。 学院の外へ向けて。 承太郎が追いかけようとすると、頭上に青い影が見えた。 タバサのシルフィードだ。 ようやく品評会会場の連中が騒ぎに気づき、機動力のあるタバサが一番に駆けつけたらしい。 タバサはシルフィードに乗って空中からフーケを追跡する。 承太郎も走って追いかけようとしたが、さすがに三十メイルのゴーレムとは歩幅が違いすぎた。 後ろからゾロゾロと学院関係者や警備の連中も駆けつけてきたので、スタープラチナの足で跳躍を繰り返して追う姿を見せる訳にもいかない。 「やれやれ……あのゴーレム、一部の特性がザ・フールに似ているらしい。 土と砂の違いか。奴を追うのはどうやらあのドラゴンに任せるしかねーようだな」 しかし、学院から離れた位置でゴーレムは崩れ去り、その場にフーケの姿は無かった。 その旨をタバサから報告されたオールド・オスマンはどうしたものかと悩むのだった。 そして宝物庫に残された書置きから、盗賊は土くれのフーケだと判明。 こうしてこの事件は一時の小休止を得る。 盗賊、土くれのフーケによる『破壊の杖』の盗難と逃亡。 アンリエッタが品評会を観覧しに来たため、学院の警備を王女に割いてしまった責任。 このふたつが今後解決せねばならない問題である。 ルイズは宝を守れず賊を逃がした事をアンリエッタに詫びたが、アンリエッタは警備を割かせた自分にこそ責任があり、 王宮に報告しなければならない事を伝え……ルイズの心は痛んだ。 最悪、アンリエッタの責任問題になりかねない。 不幸中の幸いというか、ゴーレムに握り潰されそうになったルイズの負傷は軽く、特に治療しなくても少し休んだ程度で普通に動き回れるようにはなった。 だが青銅のギーシュの負傷は重く、ルイズをかばって複数の瓦礫に当たったのか、打撲だけでなく一部の骨にヒビも入っていたようであり、衛兵が駆けつけると安堵したのかすぐ気を失い、水のメイジによる治療を受けねばならなかった。 おかげでルイズはまだギーシュに何も言えないでいるが、自分の気持ちの整理もついていないので、話せる状態でもきっと何も話せなかったろう。 そして翌朝――土くれのフーケと遭遇したルイズと、追跡を試みたタバサが、オールド・オスマンに学院長室へ呼び出された。
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/5280.html
960 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/10/05(月) 03 03 30 ID ??? セクハラ系でひとつ。 俺らのサークルにはA男とB子という面子がいたんだが、 あるB子不在の飲みの夜、A男が自分とB子は付き合ってて、 実は同棲中だとカミングアウトしてくれやがった。 確かにB子は彼氏もちだとは聞いていたが、まさかA男がそいつだとは! 仕方ないので俺ら非モテメンバー(二人を除くサークルの面子全員)は、 嫉妬半分羨ましさ半分で、A男を祝福してやったんだな。 で、ある日のセッション中に、些細なことでA男とB子が口論を始めた。 簡単に言うと、A男が手持ちのポーションでB子の窮地を救ったんだが、 B子に「A男さん助けてくださって有難うございました」って言えと要求。 ネタかと思ったらなんかマジで皆も引き始め、B子も徐々にキレ始める。 とりあえずセッション中断してその日は解散になってしまった。 で、数日後にB子がサークル脱退を表明。 なんでもA男と一緒の卓を囲むのが嫌になったからだと言う。 しかも事情を聞いてみると、B子はA男とは同棲どころか付き合ってもなく、 頻繁に送られてくる内容のないメールに辟易していたとか。 代表「A男と付き合ってるんじゃなかったの?」 B子「えっ、だって私彼氏いますよ?」 俺「えっ」 代表「えっ」 そしてB子は俺たちのサークルを去っていったが、A男は今も健在だ。 俺たちは何事もなかったかのように、今日もセッションを続けている。 オチはない。 961 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/10/05(月) 03 38 21 ID ??? 困ったちゃんはいなかった A男というかわいそうな男がいただけさ・・・ 962 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/10/05(月) 04 03 24 ID ??? よかった、モテる困なんていなかったんだ 969 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/10/05(月) 06 47 50 ID ??? 後輩と付き合わなきゃいかん義理はない、って意味じゃね 970 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/10/05(月) 08 02 27 ID ??? 960 ストーカーまがいの行動取ってると判明した人物とごく当たり前に友人づきあいできるものなんですか? 叩きとかじゃなく純粋に男性心理に対する疑問ですが。 972 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/10/05(月) 08 47 27 ID ??? 970 俺にゃ無理だが我関せずで付き合う奴はそこそこいると思われ。 人間自分が当事者になってみないと目が覚めんもんだ。 スレ239
https://w.atwiki.jp/kuontoyukai/pages/2.html
メニュー トップページ 今まで考えたオリキャラ達 GOD EATER BURST THE ANOTHER~神を喰らい、糧とする者たち~ 魔法少女ケイリ~夜に在り、数多星々を司る星の王女~ 人物 魔法?設定 魔法少女ケイリ~夜に在り、数多星々を司る星の王女~ ストライク・ガールズ~純白の魔女達と音速の乙女達~ 設定資料 ストライク・ガールズ~純白の魔女達と音速の乙女達~ 君が引くのはボクの命(ヒキガネ)、ボクが落とすのは君の命(ゲキテツ) 設定資料 君が引くのはボクの命(ヒキガネ)、ボクが落とすのは君の命(ゲキテツ) Heart of Machine~心ある機械人形~設定資料 Heart of Machine~心ある機械人形~ 魔法少女リリカルなのはA’s~闇の慟哭(どうこく)、光の不死鳥(フェニックス)~設定資料 魔法少女リリカルなのはA’s~闇の慟哭、光の不死鳥(フェニックス)~ Roter Tanzer~退魔の舞踏の舞い手達~(合同作品) はーみっと☆ぶれいく! リンク @wiki @wikiご利用ガイド 他のサービス 無料ホームページ作成 無料ブログ作成 2ch型掲示板レンタル 無料掲示板レンタル お絵かきレンタル 無料ソーシャルプロフ ここを編集
https://w.atwiki.jp/tw2-yukikaze/pages/74.html
4月3日 ガラガラと、玄関の扉が開いた。 「・・・ん?」 反応が無いので玄関に向かうと、玲奈の姿があった。 「・・・玲奈?」 「・・・」 そして俺の顔を見た瞬間、彼女は泣き出した。 「・・・・・・」 ただ泣いている彼女の心を助ける方法を、俺は持っていない・・・。せめて寄り添うくらいしかできない。能力者と一般人に、やはり溝があるように思えてしまう。 「・・・」 土蜘蛛、おそらくそれだろう。 そう、前回土蜘蛛で人が亡くなられた時と全く同じなのだ。 あれは、忘れもしない3月10日。 「・・・」 あの日も、帰ってきた彼女は泣いていた。 「大丈夫か!?」 「・・・」 そのまま崩れ落ちた彼女の体から、何かの写しが落ちた。 「・・・」 土蜘蛛のレポート、そこには、 「・・・マジかよ・・・」 死者の報告。 「・・・」 俺には、何も言えなかった。 「・・・玲奈ちゃん、大丈夫かしら・・・」 「こればかりは・・・」 そのレポートをなぜか大量に握っていたので、その内の1枚をくすねて家族で見ていた。ごめんな。 「・・・玲奈自身が、乗り越えるしか・・・」 そうは言っても、まだ13歳の彼女にはあまりにも重過ぎる重圧。 「・・・こんな時、助けてあげられないのかなぁ・・・」 「・・・辛いだろうな、色々と・・・」 恋人が居た。その事も感情移入に拍車をかけていると思えた。復帰できないかもしれない、ふと、そんな事が頭をよぎる。 そして、11日昼。 「・・・」 玲奈は、起きてきた。 「・・・あの・・・」 「何?」 「昨日はごめんなさい」 「・・・大丈夫か?」 「・・・はい・・・」 そう、父さんが声をかけても、元気が無いように聞こえる。 「・・・それと、残りの3月、お暇を貰います・・・」 「どうした?」 「・・・少し、調査に行きますので・・・」 「依頼?」 「・・・はい・・・」 「うん、分かった」 後に、危険な場所に向かうと聞いたときにはっきり悟った。 おそらく、これが彼女の答えなのだろう。 危険な場所に自分自身が向かい、他の人を守る。 それが、彼女の乗り越え方。 「・・・大丈夫、必ず帰ってきますわ」 そして、彼女は宣言通り、帰ってきた。 それで、すっきりするはずだったのに。 「・・・」 どうしようか・・・。 「・・・」 いつの間にか、玲奈は泣き疲れて眠っていた。 「・・・」 どうすればいいんだろうか・・・。
https://w.atwiki.jp/negirowa2/pages/68.html
Spitfire 「うわああああああああっ、なぜだぁああああああ!」 夕闇の中に慟哭が木霊する。 そう、上条信哉は彼は最愛の妹を失ったのだ。 そして涙に暮れる信哉を忸怩たる思いでただ見つめることしか出来ない衛宮士郎、 (どうして…) 全てを救う正義の味方を目指す少年にとっても目の前の現実はあまりに過酷すぎた。 (何人も死んだ…なんでなんだ、何故そんなに簡単に人を殺せるんだ!) 木陰で佇む槍兵の表情は一切伺えない、それでも時折苛立ちを隠せぬようにカツカツと槍を鳴らすような音が聞こえてはくる。 「沙耶っ沙耶っ…ああああ」 信哉の慟哭は収まる気配を見せない。 古武士の風格すら漂わせるこの少年がここまで崩れるのだ、いかにこの少年が妹を思い愛していたのかが伺われる。 「なぁ…」 見かねた士郎が信哉の肩に手をやろうとしたのだが、槍兵の厳しい視線を感じるとそのまま手を引っ込める。 (今は泣かせてやれってことか…でも) 嗚咽の声が響く中、戸惑いを隠せない士郎、とわずかに信哉の雰囲気が和らいだような気がした。 「な…」 「泣くのはもういいんじゃねぇのか」 士郎が声をかけようとした矢先にランサーの声が先に重なる。 このへんのタイミングは多くの戦士たちの死を看取ってきた歴戦の戦士ならではのものだった。 「で…どうしたいんだ、てめぇは」 落ち着きを取り戻したように見える信哉に問いかけるランサー。 「とりあえず泣くのには満足したみてぇだがよ」 押し黙ったままの信哉が重い口を開く。 「知れたこと…妹の仇を討つ…それだけだ」 「そんな…」 口を挟もうとする士郎を手で制するランサー、そのまま士郎には構わず話を続ける。 「わかってるとは思うが、そりゃ茨の道だぞ」 「知れたこと、だがもう俺にはそれしかありえない」 復讐は復讐しか生み出さない、それがあの神父の狙い、断ち切れぬ負の連鎖を以って事を成さしめる。 だが分かっていても心がそれを許すことが出来ない。 「ランサー殿…」 信哉が確認を取るかのようにランサーへと視線を向ける。 「今の俺はテメェのサーヴァントだ、それが答えだ」 「そうか…」 それだけを口にして信哉はようやく士郎の方へと向き直る。 「おい待てよ…お前まさか本気で」 「衛宮殿、どうか止めないでくれ」 苦渋に満ちたその声に躊躇する士郎だが、道を誤ろうとしている者をただ見送ることなどこの少年には出来るはずも無い。 しかし信哉の方が早い。 「ランサーよ、令呪において命を伝える」 信哉の左手が輝く。 「衛宮殿から宝石を奪え」 「な!」 驚く暇もなく、ランサーに組み伏せられる士郎、耳元で囁くランサー。 「なぁ頼む…大人しく宝石を渡してくれねぇか…さもないと」 聞き分けのない弟をあやすような口調に突如殺気が混じる。 「ボウズ、オメェをまた殺さなきゃならなくなる」 その声を聞いた途端、士郎はまるで心臓を刺し貫かれたような感覚に襲われた…これは脅しではなく本気で、 そしてこれはこの男なりの誠意なのだと、 だから士郎は、逆らうことなく宝石を信哉へと差し出す、値踏みするように手にした真紅の宝石を握る信哉。 思ったとおりだ…おそらく何らかの儀式の触媒として使うつもりだっただろう、凄まじき量のマナを感じる。 魔力を半ば封じ込められた状態でも、この宝石にプールされたマナを抽出すれば、 魔術の威力そのものに制限が掛けられていることを計算に入れたとしても、その補正を補うことが出来るはず。 「すまない…衛宮殿」 (俺は修羅に堕ちる…すまぬ…だからどうか衛宮殿は汚れないままでいて欲しい、ここからは俺のせめてもの置き土産だ) 「ランサーよ、令呪において命を伝える」 信哉の左手がまた輝く。 「これからは俺ではなく、衛宮殿に忠義を尽くしてくれ」 この言葉に驚かぬ者はいなかった、士郎だけではなく、ランサー本人ですらも。 「お前…」 「真名をついには聞けず終いでしたが、名のある英霊とお見受けしております、ゆえにその刃を私怨で汚させることは 俺には出来ません…俺はこれから怨刀に生きて怨刀に斃れることになるでしょう、だから槍兵殿」 そこで信哉は笑う、誇らしげにだがひどく寂しく。 「真の主の下で忠義を尽くして欲しい、衛宮殿の理想を叶える手助けになって欲しい、それが俺の願いです」 もはや言葉を発する者はいなかった、ここまでの覚悟を決めた男を誰が止められるというのだ、 その果てが修羅道と知っていてなお。 「さぁ…衛宮殿」 信哉が手を差し伸べる、それが何を意味するのかは士郎にも分かる、もう士郎も何も言わなかった。 ただ無言で信哉の手を掴む、と僅かな痛みと共に左手に痣が刻まれ、そして急激な脱力感…。 「オイ大丈夫か?ボウズは半人前なんだからよ」 「いや…大丈夫だランサー」 己の魔力を持っていかれる独特の感触に戸惑いながらも、なんとか姿勢を整える士郎、 信哉の気持ちに応じるためにも、これしきで挫けるわけにはいかない。 「またな…衛宮殿」 契約の譲渡を確認するともう信哉は振り向かなかった、その背中に一言だけ何かを叫ぼうとした士郎だったが。 「それは言うな…言えばアイツはまた迷う、その果ては犬死だ…それと覚悟しておけ」 ランサーの目が光る。 「次に会うときはアイツはもはや敵だ…」 上条伸哉 【装備:遠坂十年分の魔力入り宝石】 【所持品:支給品一式】 【状態:健康】 【思考】 1)沙耶の仇を取る(冷静なようですが半ば自暴自棄です) 【備考】 ※士郎の体内にあるアヴァロンの存在に気がつきました 衛宮士郎 【装備:なし】 【所持品:支給品一式】 【状態:健康、令呪・残り3つ】 【思考】 1)友人らを探す 2)正義の味方として行動する ランサー 【装備:アロハシャツ、釣竿】 【所持品:ゲイボルク】 【状態:健康】 【思考】 1)士郎と行動 【備考】 ※服は任意で戦闘服、アロハに変更可能 時系列順で読む 前話 第一回放送 次話 禍福は巡る 投下順で読む 前話 吊り橋の果てに 次話 EXTRAVAGANZA ~蟲愛でる少女~ 前登場 名前 次登場 小休止 上条伸哉 イタミノウミ? 小休止 衛宮士郎 戦場デ少女ハ心ヲサガス? 小休止 ランサー 戦場デ少女ハ心ヲサガス?
https://w.atwiki.jp/horimiya/pages/66.html
8「ストレス、そして解消」 登場人物:石川・かわいい2年生・ユキ・堀・宮村・創太・有菜・担任の先生。 おまけ「卒業アルバム見せてって言ったらじゃあそっちが見せてくれたらいいよみたいな」「バカップル」 「暇だとこいつらはこういうことしかしない」「においで危険を察知した宮村」 進路に悩む堀の話。 石川が(ユキ曰く)かわいい2年生をふる所から始まる。 創太が有菜を堀家に連れてくる。初登場(2「時間の共有」)よりだいぶ大人しめになっていて、前髪も下ろしている。 宮村は卒業後、家のケーキ屋を継ぐ。 堀の部屋でぐちゃぐちゃになった堀の志望校調査用紙を見つける。 自分がそばにいたのに堀の悩みに気付けなかったと宮村はショックを受ける。 宮村は先生に用紙を無くしたと嘘をつき、その用紙を堀にあげる。 その日、堀は宮村の夢を見る。 ユキが部活に行っている。何部かは不明。 落ち込んでる石川に声をかけるクラスメイトが溝内と同じ髪の色。 コメント ←7「新学期」 9「お大事に」→
https://w.atwiki.jp/parallelparadox/pages/268.html
対馬レオの偽身。 “改造”の概念操作。 虫や動植物の能力を獲得《コピー》する、もしくは体の構成成分を加工する能力。 但し、対馬レオの認識により改造できるのは生物の範囲に限定される。 つまり、幻想種の能力や“魂の力”に基づく能力は獲得(コピー)できない。 また、改造する場合でも人体の構成物を応用することしかできない。 対馬レオはスピリッツの物質への干渉にヒントを得て能力の応用を考案。 自分の能力に合わせて三つに分類しそれぞれ“異殖”“解析”“造身”と名付け定義した。 “異殖《いしょく》“は、他の生物の細胞を複製し、その能力を自分のものとして利用する能力。 “解析”は、文字通り自分や他の生物の構造、状態を知る能力。 “造身”は、自分の体の構成物質を利用して自身の肉体を改造する能力。 “真白き鎧《アーマード・セイント》” “疾走・擬似神速《ヴィジョン・オブ・ディスオーダ》” “熾雷の猛り《サンダーヘッド》” “伝播する慟哭の波《スクリーミングフィスト》” “透徹・伝播する慟哭の波《スクリーミングフィスト・クリアード》” “天を衝き焼く紅蓮の業火《ブレイズ・トゥ・ブレイズ》” “震撃衝声咆《ブラスティング・ハウル》” 以上、具体的な七つの発動形態が確認されている。 ⇒対馬レオ(つしま・れお) ⇒スピリッツ
https://w.atwiki.jp/ranoberowa/pages/336.html
第287話:奇人と変人、そして狂犬 作:◆a6GSuxAXWA 「あ……」 木の根に足が引っかかり、転びかけた。 と、左手側から回りこんだ腕が詠子を支えた。 「大丈夫かね?」 問いかける佐山に、詠子は微かな苦笑を返す。 「ごめんね。こんなに森を歩くのには、やっぱり慣れていないから……」 「気にする事はない。私も慎重に行こうと思っていたところだ」 森の外縁部。 平野部に対して視界を確保し、何かあれば森側へと逃げ込める位置を確保しながら、二人はE-5まで歩いて来ていた。 「小休止としよう。我々都会人には辛いものがある道行きだからね」 そうは言うものの、佐山が山林を歩く事に慣れていること程度は、詠子にも分かる。 詠子の体力に心を配り、しかしそれを表に出すことなく、何やかやと小休止を取ってくれる。 ……やっぱり“裏返しの法典”君と一緒にいて良かったな。 彼ならば異界でもそう簡単には壊れないだろう。多分、“シチュー”ではなく“魔女”になれる。 ……嬉しいなあ。やっぱり“できそこない”になっちゃうのは可哀想だもの。 「ありがとう。それじゃあ、私に何かする事はある?」 「書き置きをお願いしたい。オーフェン君へ、そうだね…… 『魔女と世界の中心は例の場所へ向かう。“二本目の刀子”君にも、その気があるならば同行を許可しよう。 なお、マジク・リンは第一回の放送の死亡者リストに含まれていた』 というような文章を筆記して紙縒りにし、目立つ木の枝に巻きつけて頂きたい」 運が良いな、と詠子は思う。 これでまた、物語を紡ぐことが出来ると。 「うん、分かったよ。――法典君は?」 「少し周囲を調べてくる事にするよ。ああ、この後は一気に街まで歩ききるつもりなので、花摘みの類は今のうちに済ませておいてくれたまえ」 こくりと頷き、別行動を開始。 佐山の背中を見送ると茂みの陰に隠れ、筆記具を取り出す。 「ええと、法典君の言っていた文章に……物語、と」 さらさらと文字を連ねると周囲を見回し、目立つと思われる枝に紙縒りで紙を結びつける。 そうして茂みの影に戻ると、木に背中を預けて一休み。 いかに精神的に常軌を逸していても、身体は普通の女子高校生。夜通し行動すれば眠気もある。 「小人さん、危ない人が来たら教えてね」 陽気な笑みを浮かべて頷く石斧を持った小人を確認し、瞼を閉じ―― 「詠子君。起きたまえ」 「ふぁ……ん……おはよう、法典君」 肩を揺さぶられて目を覚ます。 時計を確認すれば、既に九時半。 一時間半ほど眠っていたようだ。 「眠気は取れたかね?」 そう言う佐山の手には拳銃。 どうやら、眠っている自分の傍らで周囲を警戒してくれていたらしい。 「うん、ありがとう。――法典君は眠らなくても大丈夫? 私、見張るよ?」 小人さんにも小さくお礼の会釈。 「三日程度ならば徹夜は可能だ。以前に祖父と、眠ったら相手を殴っても良いというルールで一週間ほど修行したことがある」 あの山猿が目を開けて会話しながら眠っていると気付けば、もっと殴れたものを、と胸を押さえながら呟く佐山。 その悔しげな様子に、詠子は微笑み、 「ひょっとして、今その奥義状態で寝ているの?」 尋ねると、ふと佐山は懐かしそうな目をして、唐突に詠子を抱き締めた。 「え?」 そのまま茂みの奥へと押し倒され――同時、遠くで何かが破裂するような音がした。 ……銃声、かな? 佐山はその鋭い瞳で、油断無く周囲を見回している。 それは近隣エリアでの、哀川潤に対する萩原子荻の狙撃音なのだが、二人はそこまで知りはしない。 「静かに。どうやら誰かが狙撃を受けているらしい――我々も狙撃手の射程に入っている可能性がある。森に逃げよう」 そのまま詠子を抱き上げると身を屈め、佐山は森の奥へと駆ける。 人一人背負っているにしては、かなり速い。 枝の間をすり抜け、障害物を踏み抜き、躍動する獣を思わせる動作で森の奥へ―― と、かなりの距離を稼いだ所で、その足が止まった。 「おい、そこのお前。――お前らはこのゲームに乗ったクチか?」 「唐突に何かねそこのヤンキー。人にものを聞く前に、まずは名乗りたまえ」 詠子を抱えたままで、佐山は言葉を発する。 体勢の関係で、詠子は佐山の会話の相手が見えない。 「……ん」 く、と佐山の腕の中で身を捩ると――そこに居たのは、鋲の打たれた革のジャケットを着込んだ人影。 鉄条を束ねたような、精悍な印象の男だ。 「ったく。またコレか……俺はこの島で変人奇人にしか会えねぇ運命なのか? それともこの島に集められたのが俺以外変人奇人なのか?」 まあいい、と男は呟く。 「俺は甲斐氷太。お前らは?」 「簡潔に言おう。私は宇宙の中心、佐山・御言だ。こちらは十叶詠子君……ああ、二人ともゲームには乗っていない」 佐山が答える様子を見て、詠子も一瞬黙考。 「“欠けた牙”さん、かな。豪胆だけどどこか怜悧で――欠けた部分を埋めたくて、常に何かに噛み付こうとする」 「あン? 何だその女は……見透かすような事を」 甲斐が一瞬、容易ならぬ敵と対峙するような気迫を垣間見せる。 それに対して、占いのようなものだと佐山が返し、距離を取ったまま甲斐を見据える。 「さて、我々は人を探している。できれば情報交換といきたいのだが……君は、ゲームに乗っているのかね?」 佐山の問いかけが、木漏れ日の中に響いた。 【D-5/森の中/1日目・9 43】 【佐山・御言】 [状態]:健康。疾走でそれなりの疲労。 [装備]:Eマグ、閃光手榴弾一個、メス [道具]:デイパック(支給品一式)、地下水脈の地図 [思考]:1.仲間の捜索。2.地下空間が気になるが、街付近の狙撃手を警戒。 【十叶詠子】 [状態]:健康 [装備]:魔女の短剣(アセイミ)、『物語』を記した幾枚かの紙片 [道具]:デイパック(支給品一式) [思考]:1.元の世界に戻るため佐山に同行。2.物語を記した紙を随所に配置し、世界をさかしまの異界に 【甲斐氷太】 [状態]:左肩に切り傷(軽傷。動かすと僅かに痛みが走る程度。処置済み) [装備]:カプセル(ポケットに数錠) [道具]:煙草(残り14本)、カプセル(大量)、支給品一式 [思考]:1.眼前の変人たちをどうするか。 2.ウィザードと戦いたい。海野をどうするべきか。ゲームに乗る? 2005/05/05 修正スレ80-82 ←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→ 第286話 第287話 第288話 第326話 時系列順 第260話 第249話 甲斐氷太 第294話 第283話 十叶詠子 第294話 第283話 佐山・御言 第294話
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/262.html
事件! 王女と盗賊……そして青銅 その③ 三十メイルはあろうかという土のゴーレム。 その手にルイズが掴まっているという事態に承太郎とギーシュは遭遇した。 このゴーレムは何なのか、目的は何なのか、メイジはどこにいるのか。 疑問はあったがルイズは今にも絞め殺さようとしている最中であり、迷っている時間もためらっている暇も無く承太郎は即断した。 ルイズは承太郎の『腕』の力を知ってはいたが、『腕』だけでこの巨大なゴーレムに太刀打ちできるとは思っていなかった。 「ジョータロー! 無理よ、あんたは逃げ――えっ!?」 地面がめり込むほどの勢いをつけて、承太郎は跳び上がった。 一瞬でゴーレムの腕の高さまで来ると『腕』を出してルイズを握る指を殴る。 「オォォォラァッ!!」 ボゴンと音を立てて指が粉砕し、承太郎はルイズを『腕』で引っ張り出す。 そしてルイズを生身の肉体でしっかりと抱きしめると、地面に着地すべく飛び降りる。 だがゴーレムが足を振り上げて二人を狙う。 空中では動きが取れないため、咄嗟に『腕』を身体の前でクロスさせて防御する。 強烈な衝撃により承太郎とルイズは塔の外壁に吹っ飛ばされた。 「スタープラチナ!」 ゴーレムの蹴りを防いだように壁への衝突を『腕』で防ぎ、壁の表面をずり落ちる。 「ジョータロー! ルイズ!」 慌ててギーシュが駆け寄ってくると、承太郎はギーシュの目を見、抱いていたルイズをギーシュに向けて突き出した。 「ルイズを連れて逃げろ」 「どうする気だ、ジョータロー!」 「奴が何者かは知らねーが、このまま放っておく訳にもいくまい」 「無茶だ! いくら君でも――」 再び承太郎は人間とは思えない速度と高さの跳躍をしてゴーレムに迫った。 承太郎の本当の実力がどの程度のものなのか知らないギーシュは、不安と希望を同時に抱いていた。 だが、自分より前に出てルイズが杖を構えている事には不安を通り越して危機感を抱いた。 「何をする気だルイズ! 奴を挑発するな!」 「うるさい! 目の前に賊がいるっていうのに、逃げる訳にはいかないわ!」 「ジョータローが逃げろと言ったろう!?」 ギーシュがルイズの右腕を掴むと、頬に平手が飛んだ。 「邪魔をしないで!」 怒りのこもった言葉にギーシュは口ごもってしまい、 その間にルイズは杖をゴーレムに向けてファイヤーボールを唱えた。 ゴーレムは巨大だった。あまりの質量を前に、承太郎はメイジ狙いの戦法を選ぶ。 どんなにゴーレムが強かろうと、メイジは生身の人間。 ようするに巨大な土人形のスタンドを操るスタンド使いと戦うようなものだ。 ルイズを助けた時のようにスタープラチナの足で跳躍し、一直線にフーケ本体へ。 だがフーケは承太郎を近づけまいとゴーレムの腕を振るわせる。 しかし遅い! 手が承太郎を捉える前に、承太郎がフーケを捉える! そうなろうとしたまさにその瞬間! 轟音ッ! ルイズの魔法が狙いを外れ、塔の外壁で爆発を起こしたのだ! 「ぬうっ……!」 「えっ!?」 突然のアクシデンド。承太郎もフーケも爆風から身を守らねばならなかった。 ここで空中にいた承太郎と、ゴーレムの肩にいたフーケの差が生まれる。 フーケはゴーレムの身体にしがみつき、かがんでいればよかった。 だが承太郎は爆風によりバランスを崩し、爆煙で視界をふさがれてしまった。 「オラオラオラオラオラッ!」 爆煙の中スタープラチナの拳がうなるが、爆発のショックでゴーレムが傾いたせいで、拳の狙いがそれ空を切ってしまった。 「くっ、何が起きて……えっ? 宝物庫の壁が……!」 フーケは承太郎の攻撃から逃れられた事と、宝物庫の壁に今の爆発でヒビが入った事、この二点に気づいた。 ニンマリとフーケは笑い、さっそくヒビの入った壁をゴーレムのパンチで粉砕する! さらなる轟音が鳴り響き、承太郎やルイズ達の頭上に瓦礫が降り注ぐ。 「うわっ、あ……!」 ギーシュは身をすくめ、瓦礫が自分に当たらない事を祈った。 だが『自分に当たりませんように』と願いながら見上げてみれば、人の頭くらいの大きさの瓦礫がこちらに――目の前のルイズの頭目掛けて落ちてきていた。 「ルイズ! 危ない!」 咄嗟にルイズを突き飛ばした直後、ギーシュは背中に強い衝撃を受けて転倒した。 視界がガクンと揺れ、それでもピンクの髪は目立ち、ルイズがどこにいるかは解った。 「うっ……ギーシュ? ギーシュ!」 ルイズが慌てて振り返る。ギーシュはうつぶせに倒れたまま動かない。 最悪の予感がルイズの脳裏をよぎった。 だがすぐにギーシュは顔を上げ、薔薇の杖を掲げ、花びらを舞わせた。 「えっ?」 ワルキューレが七体ルイズの前に出現し、スピアを構えた。 フーケは宝物庫に飛び込みながら、承太郎を危険視し、狙いのお宝を盗み出すまでの間の時間稼ぎをすべく、すでに行動を起こしていた。 ピンクの髪はよく目立つ。 すぐに狙いをつけてゴーレムの足で踏みつけようとした、だが一体のワルキューレがルイズを担いで逃げ出す。 「なっ、何するのよ! 放して!」 ワルキューレを操っているのがギーシュであったため、ルイズは激昂して抵抗した。 そうこうしてるルイズの後ろで、もう一体のワルキューレが何とか逃れ、残り六体のワルキューレはいっぺんにゴーレムに踏み潰された。 ルイズを担いだワルキューレは、地響きによって転倒しルイズをその場に放り出してしまう。 「キャアッ!」 地面を転がって、ルイズはギーシュのすぐ隣に仰向けになって倒れ込んだ。 「ううっ……」 ルイズの視界の中、土ぼこりで汚れきったギーシュがよろけながら立ち上がる。 「ルイズ。君は『薔薇になぜ棘があるのか』知っているかい?」 こんな時に何の話を、とルイズは心の中で毒づく。 薔薇の造花、己の杖を構えながらギーシュは高らかに言った。 「それは『女の子を守るため』さ!」 ルイズを助けようとしたため被害から逃れたワルキューレが、ゴーレムの足にスピアを突き刺す。 だがゴーレムは何て事ないといった風に足を上げてブンブンと左右に振り、まるで虫けらのようにワルキューレを振り飛ばした。 ギーシュが一度に出せるワルキューレは七体、もうワルキューレは出せない。 それでもギーシュは一歩踏み出し、ルイズとゴーレムの間に立つ。 「何やってんのよ! 殺されるわよ!?」 「ルイズ、どうしよう。もう魔法を使うどころか、立ってるのがやっとだ……」 「ギーシュ!」 ルイズは立ち上がり、杖を構えた。もう一度、失敗でもいいから爆発を起こしてやる。 今度は狙いを外さない。 狙いは、今にも自分達を蹴り飛ばそうと振り上げられているゴーレムの左足。 だが詠唱する暇が無い、と思い知らされる速度で左足が迫ってきた。 あまりの巨大さに、一発食らえば中庭の外まで吹っ飛ばされてお陀仏だと瞬間的に理解する。 死ぬ。死んでしまう。 ルイズもギーシュもそう確信し、死の恐怖に心を震わせながら、瞳は、瞳は確かに『それ』を見ていた。 圧倒的質量を持って迫る『死』という存在の前に回りこんだ『黒い影』を。 黒い帽子、黒い髪、黒い服、黒いズボン。 空条承太郎! 195サントある承太郎の身長だが、それに匹敵するゴーレムの爪先。 土のゴーレムといえどこの速度この質量、受け切る事などできるはずがない! 承太郎の学ランが、強烈な風圧を受けてはためいた。 「オオオオオオッ!」 身動きの取れないルイズとギーシュを背後に、圧倒的破壊力を持つゴーレムの左足を前に、承太郎は吼えた。 その声は闘志に燃え、ルイズとギーシュの恐怖を吹き飛ばす! 「オラァッ!」 バゴンッ! 承太郎の右腕から出た『右腕』がゴーレムの爪先の先端を吹っ飛ばす。 「オラァッ!」 ドゴンッ! 承太郎の左腕から出た『左腕』がゴーレムの爪先をさらにえぐる。 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」 左右の拳が残像を残すほどの速さで猛烈なラッシュを繰り出す! その一発一発がギーシュのワルキューレを容赦なく粉砕する威力! 鉄よりも脆い土のゴーレムは強烈なラッシュに、爪先から踵まで真っ二つに粉砕する。 左右を通り抜ける巨大なゴーレムの足の迫力にルイズとギーシュは驚きながらも、それ以上に承太郎の『腕』の力強さに驚嘆する。 そしてついに三十メイルあるゴーレムが尻餅をついて倒れ、地響きを起こした。 三人を囲うように舞う土ぼこりの中、承太郎は学帽を深くかぶり直しながら、こちらを振り向いて『終わった』と言わんばかりの態度を取った。 「やれやれだぜ」 承太郎の口癖。それはまさに『勝利宣言』のようにルイズとギーシュは感じられた。 「た、助かったぁ~……」 安堵のため気が抜けてしまい、ギーシュは情けない声を上げてその場にへたり込んだ。 土と冷や汗でよごれ、瓦礫で負傷し、ボロボロになってしまったギーシュ。 とても『薔薇』とは呼べないその姿を見つつ、承太郎は静かに声をかけた。 「……ギーシュ。おめーが奴に立ち向かわなければ……間に合わなかった」 「は、はは……もう二度と、こんなのはゴメンだよ……」 疲れたような口調ではあったが、表情はやり遂げた男だけが見せる頼もしさがあった。 そんな彼を見て、ルイズは震える唇をギュッと閉じる。 ――最低最悪の侮辱をしたギーシュが、命懸けで自分を守ってくれた。 それだけは揺ぎ無い事実であり、彼の勇気を賞賛し、感謝せねばならないものだった。 だが、感謝の言葉が出てこない。 つまらない意地を張っているのか、ギーシュを認めたくないのか、何も言えない。 正真正銘命を救ってくれた承太郎に対してもルイズは同じような気持ちだった。 自分が何とかしようと魔法を使ったら、失敗して、承太郎の足を引っ張ってしまった。 そしてギーシュに助けられ、承太郎に助けられる自分。 『こうでありたいという自分』と現実のギャップが痛々しく小さな胸を絞めつける。 「ところでギーシュ、メイジがゴーレムを操れる『射程距離』はどの程度だ?」 「メイジの技量にもよるから正確には言えないけど、 あのゴーレムを操った奴はまだ近くにいると思う……」 「となると……塔の中か?」 ゴゴゴゴゴゴ……。 ポッカリと穴の空いた塔の外壁を睨みつけた承太郎は、そちらに向かって跳ぼうとする。 しかし視界の端で起きた変化に視線を向ける。 丁度土のゴーレムの足が修復完了した瞬間だった。 「何ッ……!?」 ゴーレムは即座に立ち上がると、再び塔の外壁に手を伸ばし、手のひらの上に人影が飛び移る。 ニヤリ、とフードをかぶったそいつの唇が笑うのを承太郎はスタープラチナの目で捉えた。 その笑み、まるで「足手まといのお世話ご苦労様」と言わんばかりに嫌味たっぷり。 「野郎ッ……!」 一気にゴーレムの手に跳び移って本体を叩こうかとも思った承太郎だが、今はルイズとギーシュという怪我人を抱えてしまっている。 下手に動けば、またこの二人を狙われるだろう。迂闊には動けない。 そんな承太郎をあざ笑うように、フーケはゴーレムを動かした。 学院の外へ向けて。 承太郎が追いかけようとすると、頭上に青い影が見えた。 タバサのシルフィードだ。 ようやく品評会会場の連中が騒ぎに気づき、機動力のあるタバサが一番に駆けつけたらしい。 タバサはシルフィードに乗って空中からフーケを追跡する。 承太郎も走って追いかけようとしたが、さすがに三十メイルのゴーレムとは歩幅が違いすぎた。 後ろからゾロゾロと学院関係者や警備の連中も駆けつけてきたので、スタープラチナの足で跳躍を繰り返して追う姿を見せる訳にもいかない。 「やれやれ……あのゴーレム、一部の特性がザ・フールに似ているらしい。 土と砂の違いか。奴を追うのはどうやらあのドラゴンに任せるしかねーようだな」 しかし、学院から離れた位置でゴーレムは崩れ去り、その場にフーケの姿は無かった。 その旨をタバサから報告されたオールド・オスマンはどうしたものかと悩むのだった。 そして宝物庫に残された書置きから、盗賊は土くれのフーケだと判明。 こうしてこの事件は一時の小休止を得る。 盗賊、土くれのフーケによる『破壊の杖』の盗難と逃亡。 アンリエッタが品評会を観覧しに来たため、学院の警備を王女に割いてしまった責任。 このふたつが今後解決せねばならない問題である。 ルイズは宝を守れず賊を逃がした事をアンリエッタに詫びたが、アンリエッタは警備を割かせた自分にこそ責任があり、 王宮に報告しなければならない事を伝え……ルイズの心は痛んだ。 最悪、アンリエッタの責任問題になりかねない。 不幸中の幸いというか、ゴーレムに握り潰されそうになったルイズの負傷は軽く、特に治療しなくても少し休んだ程度で普通に動き回れるようにはなった。 だが青銅のギーシュの負傷は重く、ルイズをかばって複数の瓦礫に当たったのか、打撲だけでなく一部の骨にヒビも入っていたようであり、衛兵が駆けつけると安堵したのかすぐ気を失い、水のメイジによる治療を受けねばならなかった。 おかげでルイズはまだギーシュに何も言えないでいるが、自分の気持ちの整理もついていないので、話せる状態でもきっと何も話せなかったろう。 そして翌朝――土くれのフーケと遭遇したルイズと、追跡を試みたタバサが、オールド・オスマンに学院長室へ呼び出された。
https://w.atwiki.jp/preciousmemories/pages/1758.html
《京介の失言》 イベントカード 使用コスト0/発生コスト1/青 [アプローチ/自分] 自分の【オタク】を持つキャラ1枚は、ターン終了時まで+20/±0を得る。 (たかがアニメ?) 俺の妹がこんなに可愛いわけがないで登場した青色のイベントカード。 自分の【オタク】キャラ1枚のAPを20上昇させる効果を持つ。 【オタク】専用のコンバットトリック。コスト0でAPを20上昇させることが可能。 《マスケラ~堕天した獣の慟哭~》と対になる効果で、こちらはアプローチ用。 ノーコストで発動できるため追加効果は特にないが、癖がないため使いやすい。 DPは変化しないため相討ちには要注意。 <オタク>には是非採用したい。 カードイラストは第2話「俺が妹とオフ会に行くわけがない」のワンシーン。フレーバーはその時の桐乃の黒猫のセリフ。 関連項目 《マスケラ~堕天した獣の慟哭~》 収録 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 01-106 俺の妹がこんなに可愛いわけがないスターターデッキ 01-106 編集